2026年7月1日、民間企業に求められる法定雇用率が2.7%に引き上げられます。
「知っていたけれど、まだ対応できていない」「自社への影響がどれくらいか把握できていない」という企業は、残り数週間のうちに現状を整理しておく必要があります。
ただし、「急いで採用しなければ」と焦るのは危険です。受け入れ体制のないまま採用しても、早期離職が起きれば雇用率の数字は維持できません。
この記事では、今回の変更内容、企業への具体的な影響、そして今から取り組むべき準備の方向性を整理します。
2026年7月、法定雇用率が2.7%に引き上げ
法定雇用率は、これまでも段階的に引き上げられてきました。
| 時期 | 民間企業 | 国・地方自治体 | 教育委員会 |
|---|---|---|---|
| 2023年3月〜 | 2.3% | 2.6% | 2.5% |
| 2024年4月〜 | 2.5% | 2.8% | 2.7% |
| 2026年7月〜 | 2.7% | 3.0% | 2.9% |
※数値は入稿前に厚労省の告示で最新値をご確認ください。
2018年の法改正により、精神障害者保健福祉手帳を所持する方が法定雇用率の算定対象に加わりました。これを受けて、精神障害のある方を採用する企業が増え、障害者雇用の裾野が広がってきています。
2.7%で企業に何が変わるか
雇用義務人数が増える可能性がある
法定雇用率が上がることで、同じ規模の企業でも雇用義務人数が変わる場合があります。
例:従業員300人の企業
2024年4月〜(2.5%):300 × 0.025 = 7.5 → 7人
2026年7月〜(2.7%):300 × 0.027 = 8.1 → 8人(1人増)
計算のポイントは、小数点以下を切り捨てるため、企業規模によっては義務人数が変わらない場合もあることです。まず自社の規模で計算してみることが重要です。
詳しい計算方法や特例カウントの仕組みについては、計算方法を解説した記事をあわせてご覧ください。
初めて対象になる企業が出る
法定雇用率の引き上げにともない、対象となる企業規模の基準も変わります。2026年7月以降、常用雇用労働者が37.5人以上の企業が対象となります。
これまで障害者雇用の義務対象でなかった中小企業が、今回初めて対象になる場合があります。
「とにかく採用しよう」の前に考えること
雇用率の引き上げを聞いて、「急いで採用しなければ」と感じる方は多いと思います。しかし、急いだ採用がうまくいかないケースには共通したパターンがあります。
- 任せる業務が決まっていないまま配属する
- 現場が「どう関わればいいか」わからないまま受け入れる
- 本人が不安のまま働き始め、早期に離職する
- 再採用が必要になり、同じ問題が繰り返される
この流れを防ぐには、採用の前に「誰に」「どんな仕事を」「どんな体制で」任せるかを設計することが先です。
準備が整っていれば、採用活動は短期間で進めることができます。逆に、体制が整っていない状態での採用は、本人にとっても職場にとっても負担になります。
雇用率未達成が続くと起きること
対応が遅れると、以下のリスクが生じます。
- 納付金:常用雇用労働者100人超の企業は、不足1人あたり月額5万円の納付金が発生します
- 行政指導:ハローワークから雇入れ計画の作成を求められる場合があります
- 企業名公表:改善が見られない場合、最終的に企業名が公表される可能性があります
重要なのは、納付金を払っても雇用義務はなくならないという点です。
未達成リスクの詳細については、リスクを整理した記事で解説しています。
今から準備すべきこと
2026年7月まで残り数週間。今から動ける準備内容を整理します。
すぐできること
- 自社の常用雇用労働者数と現在の雇用率を計算する
- 不足人数を把握する
- 既存社員で手帳を所持しているが未申告の方がいないか確認する
採用に向けて準備すること
- 任せる業務の洗い出し(既存業務からの切り出し)
- 受け入れ部署の選定とヒアリング
- 相談体制・担当者の設定
- 採用チャネルの検討(ハローワーク、就労移行支援事業所など)
「雇用率に間に合わせる」ための採用ではなく、「定着できる職場を作ってから採用する」という順番が、長期的に安定した雇用につながります。
具体的な準備の5ステップについて記事では、現状把握から採用・定着設計まで実務フローを解説しています。
まとめ
この記事のポイントを整理します。

- 2026年7月1日、民間企業の法定雇用率が2.5%から2.7%に引き上げ
- 国・地方自治体は3.0%、教育委員会は2.9%
- 雇用義務人数が増える企業、初めて対象になる企業がある
- 「急いで採用」ではなく「受け入れ体制を整えてから採用」の順番が重要
- 未達成のまま放置すると納付金・行政指導・企業名公表のリスクがある
- 納付金を払っても雇用義務は免除されない
- 障害者雇用は人数合わせではなく、職場設計である
2026年7月の制度変更への対応や、受け入れ体制の設計についてご相談がある場合は、お気軽にお問い合わせください。

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