障害者雇用の義務は何人から?対象企業と計算方法を解説

「うちの会社は障害者雇用の義務対象なのか」「何人雇えばいいのか」——そう疑問に思いながら、なかなか調べる時間が取れていない人事担当者や経営者の方は少なくありません。

2026年7月から法定雇用率が2.7%に引き上げられる中、これまで義務対象でなかった企業が新たに対象になるケースも出ています。まず自社の立ち位置を正確に把握することが、対応の第一歩です。

この記事では、障害者雇用義務の対象企業の判断基準、雇用義務人数の計算方法、カウントの注意点までを実務ベースで解説します。

目次

障害者雇用の義務がある企業とは

障害者雇用促進法では、一定規模以上の企業に対して、法定雇用率以上の割合で障害のある方を雇用することを義務づけています。

2026年7月以降の法定雇用率と対象企業の基準は以下のとおりです。

区分 法定雇用率 対象となる常用雇用労働者数
民間企業 2.7% 37.5人以上
国・地方自治体 3.0%
都道府県等の教育委員会 2.9%

※常用雇用労働者とは、原則として1年以上継続して雇用される見込みがあり、週20時間以上勤務する労働者を指します。週20〜30時間の短時間労働者は0.5人としてカウントします(後述)。

法定雇用率の対象となるのは、身体障害者手帳を所有している方です。在職中の社員に所持している方がいれば、その人数を雇用率の算定に含めることができます。

2026年7月からの引き上げ経緯については、変更点をまとめた記事もあわせてご覧ください。

雇用義務人数の計算方法

雇用義務人数は、次の式で計算します。

雇用義務人数 = 常用雇用労働者数 × 法定雇用率(2.7%)

計算結果の小数点以下は切り捨てます。

計算例

例①:従業員100人の企業
100 × 0.027 = 2.7 → 2人の雇用義務

例②:従業員50人の企業
50 × 0.027 = 1.35 → 1人の雇用義務

例③:従業員200人の企業
200 × 0.027 = 5.4 → 5人の雇用義務

これは「最低でも何人雇えばよいか」の義務人数です。この数を下回る場合は未達成となります。

なお対象事業主は、毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークに報告する義務があります。

カウント方法の注意点

「常用雇用労働者数」も「雇用している障害のある方の人数」も、実際のカウントにはいくつかの注意点があります。

短時間労働者(週20〜30時間)は0.5人

週30時間以上働く労働者は1人としてカウントします。週20時間以上30時間未満の短時間労働者は0.5人としてカウントします。

これは「常用雇用労働者数」の計算側にも、「雇用している障害のある方の人数」の計算側にも適用されます。

※原則として週20時間未満の方は算定対象外ですが、一分の障害区分については週10時間以上20時間未満でも算定対象となる特例があります。

重度障害のある方はダブルカウント

身体障害者手帳1・2級の方、および重度の知的障害のある方は、1人を2人としてカウントする「ダブルカウント」の特例があります。

重度の方を1人採用することで、雇用率上は2人分として算定されます。採用計画を立てるうえで確認しておくべきポイントです。

精神障害のある方に関する特例

精神障害者保健福祉手帳を所持する方は法定雇用率の算定対象です。さらに、一定の条件を満たす短時間勤務者について特例的な算定方法が設けられています。

特例の適用条件の詳細は、厚生労働省またはJEED(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構)の最新の公表情報でご確認ください。

「除外率」制度がある業種

建設業や警備業など一部の業種では、法定雇用率から一定割合を差し引く「除外率制度」があります。自社が除外率制度の対象かどうかは、ハローワークまたは厚生労働省の公表資料で確認してください。

「初めて対象になった」企業がまず確認すべき3つのこと

2026年7月の雇用率引き上げにより、これまで義務対象ではなかった企業が新たに対象になる場合があります。初めて対象になる企業は、まず以下の3点を確認してください。

①自社の常用雇用労働者数を正確に数える

正社員だけでなく、週30時間以上働くパートタイマーや契約社員も含まれます。週20〜30時間の短時間労働者は0.5人として加算します。

②雇用義務人数を計算する

上の計算式をもとに、自社の雇用義務人数を算出します。この数字が採用計画の基準になります。

③現在すでに障害者手帳を所持する社員がいないか確認する

既存社員の中に、本人が申告していないだけで障害者手帳を所持している方がいる場合があります。障害者雇用率の算定には本人の同意が必要となるため、会社が一方的に確認することはできません。自己申告を促す制度を設けることで、現状の雇用率をより正確に把握できます。

これらを確認した上で、実際の不足人数を把握することが採用計画の出発点になります。

未達成の場合に何が起きるかについては、リスクを整理した記事もあわせてご確認ください。

雇用義務人数を満たすことが、ゴールではない

ここまで計算方法を解説してきましたが、最後に重要なことをお伝えします。

「何人雇えばいいか」という問いは、障害者雇用の一側面に過ぎません。採用した方が職場で定着して継続的に働けなければ、雇用率の数字を維持することはできません。

人数を揃えた後に起きやすいのが、次のような流れです。

  • 受け入れ体制が整っていないまま配属する
  • 現場が「どう関わればいいかわからない」まま対応する
  • 本人が安心して働けず、早期に離職する
  • 再採用が必要になり、また同じ課題が繰り返される

この流れを防ぐには、採用と並行して受け入れ体制を設計することが必要です。業務の切り出し、相談体制の整備、現場職員への説明——これらが揃って初めて、数字だけでなく実態として障害者雇用が機能します。

障害者雇用は、人数合わせではなく職場設計です。計算方法を押さえた次は、どう受け入れるかの設計に進みましょう。具体的な準備のステップを書いた記事では、実務フローを5ステップで解説しています。

まとめ

この記事のポイントを整理します。

  • 2026年7月以降、民間企業の法定雇用率は2.7%。対象企業は常用雇用労働者37.5人以上
  • 雇用義務人数 = 常用雇用労働者数 × 2.7%
  • 短時間労働者は0.5人、重度の障害のある方はダブルカウントの特例がある
  • 精神障害のある方には一定条件下で短時間でも1人カウントの特例がある
  • 対象事業主は毎年6月1日時点の雇用状況をハローワークに報告する義務がある
  • 人数を満たすことはスタートライン。定着できる職場の設計が本来の目的

自社の義務対象の確認や、雇用率の現状把握からはじめたい場合は、お気軽にご相談ください。

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